1.ダイビングで感じるめまいの原因と予防、処置

ダイビングが原因で起きるめまいには、回転性のものと、非回転性のものに大別されます。前者には、内耳型減圧症、外リンパ漏、温度性眼振、リバースブロックがあり、後者には頸動脈洞症候群があります。内耳型(メニエール型)減圧症は、内耳の血管に窒素の塞栓症が起きるために、平衡感覚が狂うものです。一般的な減圧症と同じで、深く長く潜水すると起きます。チャンバーによる再圧治療が必要です。外リンパ漏は、耳抜き不良が原因で正円窓や卵円窓(内耳窓)が破れ、内耳の中のリンパ液がもれだし、平衡感覚が狂うものです。なるべく早く手術しないと、一生治らなくなります。これら二つはどちらも耳鳴りと難聴を伴い、しかもめまいは起きあがれないほどに重症です。温度性眼振は、外耳道に体温より低い温度の水が急に入り込んだり、耳抜き不良のために鼓膜が破れたとき(ピンホール)、中耳腔に水が入り込んで、体温との温度差で内耳のリンパ液に対流がおき、体が回っているときと同じリンパ液の動きが起こるために起きます。これらは3分間で治るので、人や岩につかまってめまいが治るのを待ちます。もちろん鼓膜が破れてしまったら、耳鼻科で治療が必要です。ピンホールも耳抜き不良がの原因です。リバースブロックは耳抜きはできたけれども、耳抜きで送り込んだ空気が浮上中に膨張しているのに、耳管から抜けないために内耳窓を圧迫し、リンパを刺激してめまいになります。耳抜き不良と同じように風邪などで起きます。非回転性めまいの頸動脈洞症候群は、ウエットスーツやドライスーツによって頸動脈を圧迫して起きます。圧迫を解除するとたちまち治ります。スーツの首周りはきつすぎぬ様注意しましょう。


2.ダイビングで感じる頭痛の原因、予防、対策
 
 多くの場合、呼吸の仕方が不適切で、酸素不足や二酸化炭素過剰でおきます。もちろんビギナーの方に多いのですが、以外と100本以上の方にも見られます。ビギナーの方は無意識のうちに、浅く早い呼吸となり、ゆっくりした深く大きな呼吸ができていないのです。深度下では呼吸に抵抗が出てくるため、これを早い呼吸で補おうとしてしまっているのです。慣れるまでは、意識してゆっくり深く大きな呼吸を心掛けてください。また、ベテランでもエアーをけちってしまう人や、そんな意識はしていないのだが、いつの間にか大きく深い呼吸を忘れてしまっている人もいます。もちろん、呼吸に見合わない大きい運動量でも酸素不足となり、頭痛になります。また、副鼻腔のサイナススクイーズのうち、前頭洞や蝶形骨洞のサイナススクイーズは頭痛を引き起こします。風邪による一過的な急性鼻炎や、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といった慢性的な鼻炎が原因で、副鼻腔と鼻腔の間の交通がふさがって、サイナスの圧平衡がとれないときに起きます。重症の蓄膿症の人には鼻茸というポリープが発生し、サイナスとの交通をふさぐことがあります。こうなると手術的治療が必要です。サイナススクイーズは、これらの鼻炎の治療が必要です。そのほかには、女性や筋力のない人などでは、タンクの重みで肩凝りを起こしてしまって、首の筋肉が緊張することによる頭痛(筋緊張性頭痛)を起こす人、慣れない潜水で緊張をしたり、寒さのストレスのために自律神経の不調から頭痛を起こす人、血管性頭痛や偏頭痛などの持病がもともとある人など、いろいろな原因がありますので、潜水医学の詳しい医師に診てもらいましょう。


3.ダイビングで実際に過去に起こった意外な症例

 ダイビングをしたために起きたトラブルというものはいろいろありますが、中には珍しいものもあります。潜水後に激しい頭痛を訴え、大病院を受診したところ、脳の外側に空気が入り込む脳気腫が発見され、髄膜炎を併発しているのが判明したダイバーがいました。このダイバーは数年前に交通事故で頭の骨を折るけがを負ったことがあり、潜水中にサイナススクイーズを起こしたために、サイナスから脳へ昔の骨折部位から空気が入り込み、鼻の細菌で髄膜炎を起こしたというものです。九州で2例の報告があり、一人は亡くなりました。同様に、潜水後に髄膜炎を反復した生まれつきの難聴のダイバーがいて、この方は先天性内耳奇形があり、髄液腔と耳の仕切が膜のようになっているタイプの奇形でした。潜水後にたまたま中耳炎になってしまうと、その都度、耳を通して髄膜炎になっていたのです。また、水中でのけがにも予想できないようなものもありました。根を回ったところで突然の急流に巻き込まれ、壁にぶつかった時に岩と岩の隙間に腕が挟まり、さらに体が流されたために腕を折ってしまった人、アンカーが頭に降ってきて大けがをした人もいました。水中の生物にも危険なものがいます。モンガラに指を咬まれてちぎれそうになった人や、はぐれバラクーダに頭からかじられ、何針も縫ったドイツ人というのもフィリピンで経験しました。群れているバラクーダは安全ですが、はぐれものは危険なようです。クマノミのアタックでマスクを割られ、眼球に刺さった人も。そのほかにも、海洋生物のアレルギーになってしまうと、イソギンチャクやサンゴなどの弱毒なものでもショックに陥ることもあります。生物には触らぬ事です。